文/林沙織
写真/中華鯨豚協会・黒潮海洋基金会・富安旅行社 |
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マリンスポーツのニューフェイス |
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西太平洋、すなわち台湾東海岸から日本の紀伊半島にかけては、黒潮にのって鯨が回遊する地帯にあたっている。幕末を騒がせた外国船の多くが捕鯨船であったことや南紀地方では古から近海で鯨を捕っていたことからもそれは実証されている。 残念ながらいままで台湾の庶民と鯨との縁はあまりなかったようだが、ここ数年にわかに鯨の存在が観光資源としてクローズアップされるようになった。東海岸は峻険な断崖が続いているため、風光明媚ながらレジャースポットに乏しかったものの、「鯨を見に行く」人たちが押し寄せているのだ。 |
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生態観察に関心 |
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ポイントに着くまでは船室で、実際に現場を撮影したビデオを放映しながら、半径50m以内には近づかないこと、子どものクジラを連れているときは驚かさないようとくに注意すること、餌などを与えないことなど、さまざまな注意を受ける。専門家が海の生態環境について講義してくれるので、学校教育にも好評を得ている。 ポイントに近づくと、みんなが甲板に出て、クジラを捜す。いちばんワクワクする時間だ。双眼鏡があればさらに楽しい。東海岸では、クジラとともにイルカも多数泳いでいる。ちなみに、イルカもクジラの仲間で、小型のハクジラの総称である。東海岸の沖合は、量 的には多くないが、種類は多いという。今までに発見されたクジラの種類は15種類にのぼっている。 |
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30年ぶりにザトウクジラが現れる |
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かつて屏東の恒春は台湾有数の捕鯨基地だった。その頃台湾南海域で捕獲したクジラの9割がザトウクジラだったというが、1969年の捕鯨中止以来94年5月に花蓮で発見されたほか、最近はすっかりその姿を見ることができなくなっていた。ところが、昨年12月、そして今年2月と、台東や花蓮で続けてその勇姿が発見された。資源が確実に復活しているのである。ちなみにこのクジラは、台湾では改めて「大翅鯨」と命名された。 | ||
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大海にクジラが踊る |
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運良くクジラやイルカの群れが発見されれば、ガイドや船長が種類とその特徴を詳しく説明してくれる。濃紺の大海原にイルカの大群や巨大なクジラが踊るように泳ぐ様は、格別 の景観である。真夏よりも5月から6月のほうが爽快かもしれない。 果たしてうまく出会えるかどうか、何頭と出会えるか、それはまったく運次第である。ただ経験者によれば、遭遇する確率はかなり高いという。 |
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☆花蓮/多羅満ツアー |
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花蓮港より出港。6〜9月の出航時間は通常06:00、09:00、14:30の3回。船は多羅満号(50t、83人乗り)、多羅満号(20t、32人乗り)。大人一人1,200元(含保険)。多羅満(タロワン)とはスペイン人が命名したというかつての花蓮の名称である。多羅満ツアーの指導解説を引き受けている「黒潮海洋基金会」にはクジラのエキスパートが名を揃えており、生態教育活動の一貫として取り組まれている。 ・多羅満海上娯楽公司 |
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☆花蓮/海鯨号海洋生態の旅 |
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台湾初のホエールウオッチング専用船。1997年7月就航。東海岸風景特定区のほぼ中央に位 置する石梯港より出港。船は海鯨号(19t、45人乗り)。通常出航時間は06:00、09:00、14:30の3回(休日は4回)。林國正船長はこの道28年のベテランで、鯨遭遇率は80%以上という。遭遇しなかったときは、再チャレンジ切符を贈呈。専門のガイドが東海岸の生態環境の解説や観光案内もしてくれる。大人一人1,500元(4人以上、含保険)。 ・海鯨海洋娯楽事業公司 |
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■イルカの群れがお出迎え |
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☆宜蘭頭城区漁会/鳥石漁港海洋知性の旅 |
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宜蘭県頭城鎮沖は台湾三大漁場のひとつ。現地の漁業組合が経営しているクルージングツアー。船は亀山朝日号(30人乗り)。鳥石漁港より出港。すぐ目の前には観光が解禁されたばかりの亀山島が浮かぶ。ホエールウオッチングと亀山島観光を合わせて3時間、大人一人1,200元。漁港では観光日曜市がある。 ・宜蘭頭城区漁会 |
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☆富安ホエールウオッチングの旅 |
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台北を午前7時半に出発。月曜日から金曜日まで。東北角遊覧を経て澳底港から出航。昼食は現地で海鮮料理。鹽寮、龍洞を見学して夕刻台北着。大人一人1,990元。鹽寮で一泊する二日のツアーもある。 ・富安旅行社 |
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[台湾東海岸クジラの生態と影像特展] |
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この3年にわたり、宜蘭、花蓮、台東の各県が共同して携わってきた東海岸のクジラの生態調査が一段落した。この成果 を広く国民や観光業者に披露するために5月から8月にかけて、クジラの生態に関する影像展が下記の通 り開催されることになった。クジラの生態を特写した写真やビデオ、スケッチなど貴重な記録が一般 公開される。 5/11−5/18 観光局ツーリストサービスセンター(台北) |