文/安西迪子
写真/国立海洋生物博物館 鍾国南
四方を海に囲まれ、降雨量も多い台湾は「水」と深い関わりがある。その「水」をテーマとした「国立海洋生物博物館」が屏東県車城郷にオープンした。当館では、河川及び海洋の生物研究や飼育、養殖を行なっているが、一般 の人たちにもっと水と人間の暮らしとの関わり理解してもらうため、展示・紹介にも力を入れている。

■鯨と水遊び
玄関から一歩足を踏み入れると、巨大な鯨やイルカの模型が迎えてくれる。ここが台湾水域館の入口。さあ、「台湾の海と水の旅」へスタートしよう! 「水域館」では、山間に降った雨が渓流となり、合流を繰り返して河川となって山野を潤おし、最後に太平洋に流れ込む過程を再現しており、山間のダムに生息する魚たち、川床の植物や川の周辺に生きる両生類や爬虫類、下流河口一帯に繁茂する紅樹林、それに海辺では引き潮の時しか目にすることのできない海の生物たちが自然の姿で参観できる。
海の世界も面白い。半円形の水槽内に作られたカキの養殖棚の前に立つと、自分があたかも、カキ棚のすき間をすいすい泳ぎまわる魚たちと一緒に海中にいるような錯覚に陥ってしまう。他にも、珊瑚礁 コーナー、魚のことなら何でもコーナー、子供たちが岩石地帯の生物に触って実体験するコーナー、潮間帯の微生物をビデオで紹介するコーナーなど、河川と海の世界をあまるところなく紹介している。

■川の中の様子が手に取るように

参観のあとは、明るい陽ざしの親水広場で「水」をもっと実体験しよう。子供たちに、世界最大の哺乳動物を認識してもらおうと、広場には等身大の鯨の親子の模型が設置され、潮を吹くマッコウクジラの下で水遊びが楽しめる。河川や海に親しめるように、さまざまなアイディアが凝らされているので、子供たちも大喜びだ。

来年4月には、色鮮やかな珊瑚礁が真近かに観察できる海底トンネル、イセエビや海鰻が住む海底洞窟、海底に沈んだ船舶などを再現した「珊瑚礁 の世界」が完成予定である。

台湾の自然や生物に興味ある方や海が大好きという方に見逃せないコースだが、6月30日までは1日の参観者を2,000人に制限し、20人以上の団体参観を主として受け付けている。個人参観者向けのチケットは1日400枚のみ。入館料は大人1人250/団体200元、小人150元(学生を含む)、身長110m以下の児童は無料。
参観時間:09:00〜17:30(入館は17:00まで)。団体の場合、参観2週間前に当館備付けの団体参観申請書及び政府認可証明書写 しを提出する必要があるのでご注意を。
☆国立海洋生物博物館
・屏東県車城郷後湾村後 湾路2号
・交通:高雄からは17号 省道を通って水底寮で1号省道に入る。楓港で26号省道を車城郷に向い、景観道路経由で後湾村へ。屏東からは1号省道を経由後は上記通 り。